2017年に読んだ本のうち2冊は、小澤竹俊 先生が書かれたものでした。
「今日が人生最後の日だと思って生きなさい」
残された時間が少なくなると、「丸裸の自分」が見えてくる。
明日は必ず訪れるが、自分のためという保障はない。
それでも喜んで明日を迎えるために祈りがある。
将来の夢に向けて一生懸命勉強に励んできた人が、
「あなたに残された時間はあとわずかです」
と言われたとき、果たして勉強を続けるでしょうか。
「数年後に自分の家がほしい」
と貯蓄に励んできた人は、そのまま貯蓄を続けるでしょうか。
また、数ヶ月先の旅行や観劇などの計画を立てることも難しくなるでしょう。
未来を失うと、多くの人は、現在目標としている夢や、今を生きる力を与えてくれる楽しみをも奪われてしまいます。
一般的には、未来を失うということは、今を生きている意味をうしなうことであり、今をしっかり生きられなくなることでもあるのです。
そう考えると、
「明日ご飯でも食べに行かない?」
「今週末には桜も満開だろうからお花見に行こう」
「来月公開の映画のチケット、取っておいたよ」
といった会話を交わせるのは、
とてつもなく幸せなことだとわかります。
「自分には明日がある」と無条件に信じ、
明日以降の自分に思いを巡らせることができているからです。
もちろん残された時間が少なくなったからこそ
見えてくるものもあります。
そこで初めて人生の本当の意味や、
それまで抱いていたものとは異なる、
新たな希望に気づく人もいるでしょう。
しかし、何の疑問もなく
「明日のことを語ることができる」というのは、
それだけで大変な宝物を手にしているようなものなのです。
10年前に友人を病気で亡くした時に、小澤先生のホスピスが
特集にとりあげられ、たまたま目にしました。
すぐにネットで調べて、先生にメールを送ってみたことがありました。
返信をいただき、何度かやりとりさせていただいたことは
10年たった今も、しっかり覚えています。
父が亡くなったのは私が大学4年の時、母は一昨年、
兄が昨年5月に亡くなってからは、
先生が書かれた言葉の1つ1つが、心に響きます。
知識として頭で理解するのではなく、
心に染み込み、共感できます。
なんでもない今日に感謝できる人は、
本当の幸せを知っている。
目の前のこと
身近なことにこそ
大切なもの、幸福を見つけられる。
時々、見回してみないといけませんね。